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釧路家庭裁判所帯広支部 昭和47年(少イ)2号 決定 1972年9月01日

被告人 倉沢由一(昭一二・三・三一生)

主文

被告人を懲役四月に処する。

未決勾留日数中二〇日を右刑に算入する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、斜里郡斜里町字宇登呂に居住し、同町字宇登呂において、スナック「かもめ」を経営していたものであるが、昭和四六年八月二二日ころ、法定の除外事由がないのに、いずれも満一八歳に満たない○井○子(昭和二九年一〇月一一日生)、○田○智○(同月一三日生)をその年齢を確認しないで前記「かもめ」において客の接待をする接客婦として雇入れ、以後、右○井を昭和四六年九月二九日ころまでの間、右○田を同年一〇月下旬ころまでの間、被告人の自宅に居住させ、もつてそれぞれ児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて右○井、○田を自己の支配下に置く行為をなしたものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する昭和四七年六月二六日付供述調書二通

一、被告人の司法警察官に対する供述調書

一、○井○子の検察官に対する供述調書

一、○井○子、○田○智○に関する身上調査照会回答書謄本二通

(再犯にかかる前科)

被告人は、昭和四五年九月九日釧路地方裁判所において傷害罪により懲役六月に処せられ、昭和四六年三月八日刑の執行を受け終つたもので、右事実は前科照会回答書により認めることができる。

(法令の適用)

被告人の判示所為はいずれも児童福祉法第三四条第一項第九号、第六〇条第二、三項に各該当するところ、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、被告人には前示前科があるので刑法第五六条第一項、第五七条に従い再犯の加重をなし、以上は同法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い○田○智○に対する罪の刑に法定の加重をなし、その刑期範囲内において、被告人を懲役四月に処し、同法第二一条による未決勾留日数中二〇日を右本刑に算入することとし、訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条第一項本文により全部被告人に負担させることとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 鐘尾彰文)

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